プロジェクト事例

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事例5:熊野の森もろおかスタイル

横浜市は地域住民参加型のSDGs向上のための活動が積極的におこなわれていることを知りました。なかでもおもしろい試みをしている団体を見つけました。横浜市港北区で活動中の団体「熊野の森もろおかスタイル」は、食やエネルギーの自給自足を実践し、「横浜環境活動賞実践賞」を受賞しました。たくさんの地域住民を巻き込みながらエコ活動の必要性を広く発信し、環境保全にもつなげている点が評価されました。ここではその取り組みを紹介します。
はじめに:横浜市港北区について
活動の紹介に入る前に、横浜市港南区の地域の特徴についてまとめておきます。
横浜市港北区は、全国の20政令指定都市175行政区の中で最も多い人口と出生率が見込まれている地域。横浜市の内陸部の中でもいち早く住宅化が進んだエリアでもあります。 農業、商業、住宅地全てにおいて横浜市を支える主要エリアとなっています。 「令和2年度港北区 区民意識調査 報告書」の調べによると、港北区に今後も住み続けたいと考えている住民は7割を超え、半数以上が「住んでいる場所に愛着を感じているから」という理由をあげていました。


居住形態は、「持ち家(一戸建て)」が 38.9%で最も多く、「持ち家(一戸建て)」と「持ち家(マンションなどの共同住宅)」を合わせると、67.9%と約7割を占めています。世帯構成は、「親と子(2 世代)」が 51.4%と最も多く、約半数を占めているのも特徴です。
また、「ダイヤモンド不動産研究所」調べでは、横浜市港北区の中古戸建て価格相場は坪単価 171万円(51.7万円/㎡)となった。過去10年間で+8.0%となっており、需要が多いエリアであると言え、今後も人口が増えていくことが予想できます。


横浜市港北区 地域が目指すもの
横浜市港北区の令和5年度のスローガンとして、活気にあふれ、人が、地域がつながる「ふるさと港北」~区民の皆様の安全・安心を守り、ともに歩む区政~を掲げています。目標達成に向けた施策としては(1)安全に、安心して暮らせるまちづくり (2)地域で支えあう福祉・保健のまちづくり(3)活気にあふれるまちづくりがあります。
ここからは、それぞれの目標達成に向けて具体的な活動を見ていきましょう。


1安全に、安心して暮らせるまちづくり
関東大震災から100年という節目を捉え、自助・共助の啓発など地域防災力の向上に重点的に取り組みます。また、防犯・交通安全対策や道路・下水道・公園等の適切な維持管理を通じて、区民の皆様の安全・安心を支えます。
<主な取り組み>
●災害に強いまちづくり ●防犯・交通安全対策の推進
●誰もが暮らしやすい生活 ●環境づくり

2地域で支えあう福祉・保健のまちづくり
子どもや子育て世代への支援の充実、地域福祉保健計画の推進、地域包括ケアシステムの構築や障害理解の啓発に取り組み、誰もが暮らしやすく、ともに支え合い、つながりのある福祉・保健のまちづくりを進めます。
<主な取り組み>
●子育て支援の充実 ●「ひっとプラン港北」の推進
●高齢者、障害児・者、生活にお困りの方への支援

3活気にあふれるまちづくり
商店街の活性化、ふるさと港北ふれあいまつり等の地域のイベント開催や新綱島のまちびらきとも連動した取組により、地域のつながりや魅力を実感でき、活気あふれるまちの未来に向けて取り組みます。
<主な取り組み>
●商店街活性化 ●地域資源と連携した地域活性化 ●港北の魅力発信
●データ活用・DXの推進


横浜市では、地域・市民の協力体制で行われる環境問題への取り組みや活動が盛んです。神奈川新聞でも、再生エネルギーの拡大推進が積極的に行われているという記事がありました。


コミュニティ農園で食とエネルギーを考える「熊野の森もろおかスタイル」
東日本大震災と福島原発事故をきっかけに、地域で食とエネルギー、防災を考えるコミュニティ活動をはじめました。以前耕作していた土地で、過去1年以上作物を栽培せず、数年の間も再び栽培されることのない土地に、畑をつくり、農薬や肥料を使わないおいしい野菜をつくっています。「環境再生型農業」の誕生です。たくさんの親子連れや様々な世代の方が参加し、育てた野菜をみんなで食べることで、さらに美味しく感じます。新型コロナウイルス感染症の拡大において、密を避ける生活になりましたが、屋外活動は比較的影響が少なく、土に触れたいという家族が畑にたくさん来てくれたそうです。また畑でのごはん会や落語会などを開催し、自然や季節の移ろいを感じるイベントなども行っています。子どもたちのためにも環境を守りながら自然や土と触れ合う機会をつくっていく試みはとても良い活動だと感じます。

【引用】
みどリンク https://mido-link.com/group/2021-okurayama

また、「熊野の森もろおかスタイル」では、農業以外にもさまざまな活動を行っています。例えば、環境問題の取り組みにおいて最近話題になっている「電力自由化」問題への取り組み。今日、私たちは電力エネルギーなしでは生活できない暮らしをしています。どんなエネルギーを選んで、どう使うかで私たちの未来の環境は大きく変わっていきます。エネルギーのもとである資源は有限。エネルギーを使うことで排出される二酸化炭素による温暖化問題など、地球規模の課題も、私たちの日頃の意識や心がけに委ねられています。そんなことに少しでも意識を向け、エネルギーや暮らし方について考えるきっかけになるようなワークショップを開催されています。


<活動事例>
●太陽の光を集めて調理できるソーラークッカーでお湯を沸かし、
 心を込めて入れたソーラーコーヒーを味わう。 ●少ない燃料でご飯も炊ける「エコストーブ」作り
●防災に関する勉強会
●生きものの多様性に気づく「みつばち応援」活動
東日本大震災と福島原発事故をきっかけはじめた活動ですが、まだまだ取り組むべきことはたくさんあります。大切なのは住民の皆にとって身近なものであるという認識と、継続することです。「いいまちづくり」はそういった市民一人ひとりの心がけから生まれるものだと、これらのプロジェクトを見て感じました。

【参考文献】
港北区総務部区政推進課
https://www.city.yokohama.lg.jp/kohoku/kusei/uneihoshin-yosan/unei/r5uneihoushin.html
https://www.city.yokohama.lg.jp/kohoku/kurashi/fukushi_kaigo/chiikifukushi/fukushi-plan/hitplankohokukekka.html
ダイヤモンド不動産研究所
https://diamond-fudosan.jp/
三春情報センター 横浜市港北区
https://micnavi.jp/buy/kohoku/uhouse
神奈川県全域・東京多摩地域の地域情報紙
https://www.townnews.co.jp/0103/2018/06/21/436962.html
港北力発見通信 vol.18